2022年6月7日 更新


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日本手話学会第47回大会

日程:2021年12月11日(土)

場所:ドーンセンター(大阪市)

 

【基調講演】

成人聴覚障害者の就労支援とコミュニケーション:ことばは何を伝えうるか

前田 浩氏(NPO 法人大阪ろう就労支援センター

 

【研究発表】

 

手話言語における文構造と韻律境界の特徴

田頭 未希(東海大学)

 日本手話における統語構造の違いによる韻律境界の特徴を観察し、写像関係を明らかにすることを目的とする。日本手話のネイティブサイナーが発話した、同じ語順で統語構造が異なる名詞句のデータに非手指要素のアノテーションを付与した。主に頭部や顔の上半分が韻律境界に影響している点、複数の非手指要素が同時に入れ替わるところでより上位層の韻律境界が示される点を示唆した。

 

日本手話言語の変質:意味論・語用論的アプローチによる分類手法から

川口 聖(国立民族学博物館)

 日本手話言語は音声・書記日本語の影響を常時的に受けている。そのため、いわゆる「日本手話」と「日本語対応手話(手指日本語)」の2つが存在する、日本語対応手話は日本語であり、手話ではない、日本手話と日本語対応手話が入り混じった、ビジンとしての「中間型手話」がある、日本語対応手話を使用する聴覚障害者が増えているため、日本手話は消滅危機言語になっているなど、手話言語研究の世界においても、まことしやかに共通認識として広まっている。しかも、「日本手話とは、デフファミリーの子が使用する手話である」という定義が一人歩きしているため、日本語対応手話を使用する「デフファミリーの子」が実際に多くいるにもかかわらず、デフファミリーの子が表現する手話だから手話言語としては正しいとか、デフファミリーの子でない聴覚障害者が表現する手話は日本手話ではないなどを鵜呑みする人が多くいるなど、日本手話言語社会のあちこちで言語的な差別やハラスメントが発生している。その根源としては日本手話と日本語対応手話との言語学的な違いが曖昧になっているからであると考えられる。そこで、手話の図像性を着目して、意味論・語用論的アプローチによる分類手法を使って、日本手話言語の変質についての定義を提案する。

 

日本手話における手形変化

原 大介・三輪 誠(豊田工業大学)

 手型変化には変化前と変化後の2つの手型がかかわるため、1つの音節内で2つの手型が指定されているかのように思われる。本発表では、1つの音節には1つの手型が指定され、もう1つの手型は基底手型と指関節の動きから派生される音声的手型であることを論じる。

 

日本手話にみる送り指文字と迎え指文字:超拡張記号図式と圏論による送迎指文字の考察

末森 明夫(産業技術総合研究所)

 日本手話語彙の指文字手話配列複合語にみる送り指文字や手話指文字配列複合語にみる送り指文字の造語機序に、書記日本語にみる送り仮名や迎え仮名との類似性を見いだし、両者の連関性を超拡張記号図式および圏論を用いて考察した。その結果、送り指文字や迎え指文字は送り仮名や迎え仮名と圏論的同型であること、指文字手話複合語群は関手圏における自然同値であること、書記日本語にみる語彙形態ネット―ワークの影響が色濃く見られるものであることが窺われた。