2021年2月2日 更新


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 日本手話学会第32回大会

日程:2006年6月25日

場所:国立身体障害者リハビリテーションセンター学院

 

【研究発表】

インターネットによる可変速手話視聴システム

磯野春雄・滝口雄介・勝又謙・中間正人(日本工業大学工学部情報工学科)

聴覚障害者を対象に手話ニュース映像の再生速度と読み取りやすさの評価実験をおこなった。その結果,読み取りやすい再生速度は手話の習熟度や経験年数,手話映像のコンテンツに依存することが分かった.そこで手話映像の再生速度を5段階に可変速再生Deきるシステムをインターネット上に構築し,アンケート調査したところ便利で役に立つとの回答が得られた.また,手話映像の臨場感を高めるために立体手話映像を制作し,同様にインターネット上で立体手話映像を5段階に可変速再生できるようにした.

 

コンピュータを用いた分節学習による手話学習の提案

 田中紗織(神戸大学大学院自然科学研究科)・松坂要佐(早稲田大学)・上原邦昭(神戸大学大学院自然科学研究科)

本稿では,聴者にとってより難しい手話である,日本手話の読み取り学習を支援するための効果的な学習方法を提案する具体的に,ろう学校教員や手話サークル等に属する日本手話初学者のためのオンライン教材として,日本手話母語話者の会話を読み取る学習機能をそなえたCAS(Computer Assisted Sign Language)の開発を目指し,提案学習手法に対する学習者の成績を既存手法と比較する実験を行った.

 

時間構造を考慮した手話アニメーションの検討

堀内靖雄・西田昌史・市川窯(千葉大学)

手話アニメーションは実際の手話と比べて動きが不自然であるため,読み取りづらいという問題がある.その原因の一つとして,手話単語の時間構造を考慮していないことが挙げられる.そこで本研究では手話の時間構造に影響を与えていると考えられる要因を検討し,重回帰分析を行なうことにより,単語時間長の予測モデルを作成した.そのモデルでは,手の移動距離や運動の種類,係り受けといった要因が時間長に影響を与えていることが示唆された.本研究ではこのモデルを手話アニメーションヘ実装し,モデルの妥当性を検証するための評価実験を行った.従来の手話アニメーションと提案モデルを導入した手話アニメーションのどちらが読み取りやすいかを手話の熟練者である13名の聴覚障害者に評価していただいた.実験の結果,本研究で提案する手話アニメーションが従来の手話アニメーションよりも良い評価を受け,提案モデルの有効性を確認することができた.

 

手話母語話者のノンバーバル・コミュニケーション研究:相槌の特徴

砂田武志(世田谷福祉専門学校 専任講師)・田中文(世田谷福祉専門学校 手話通訳専攻学科)

 

日本手話におけるメトニミー

佐伯敦也(東京大学大学院総合文化研究科)

 

手話の空間的表現における学習者のエラー分析 :「動詞の一致」 に着目して

鎌田麻祐子・松崎丈・菅井裕行(宮城教育大学)

日本手話(以下,手話)には,日本語の助詞にあたる機能は,空間的表現や非手指動作によって果たされると考えられる.空間的表現は,音声言語手話を学習する聴者が習得する上で,必ずと言っていいほど「つまづき」を感じる部分ではないかと思われる.そこで本研究では,空間的表現の中の「動詞の一致」に着目して,手話学習者(以下,学習者)が「動詞の一致」を用いる手話分を産出するときにどのようなエラーが生じるのかを分析し,「動詞の一致」の効果的な習得方法を検討することを目的とする.